【プロが解説】マイホーム購入と賃貸、本当にお得なのはどっち?

マイホーム購入、それとも賃貸に住み続ける暮らし。
どちらがお得なのか?というテーマは、きっと普遍のテーマです。
望むライフスタイルによってもちろん答えは異なりますが、今回はいくつか例をあげて、そこから比較検証をしてみたいと思います。

賃貸に住み続けるか・マイホームを購入するか、どちらがお得?

「賃貸に住み続けるか、マイホームを購入するか?」
どちらが得なのかを考えたとき、まず頭に浮かぶのは総コストです。

しかし、それだけでは測れないこともあります。
総コストのシミュレーションにも触れながら、マイホーム購入と一生賃貸のメリット・デメリットについても整理しましょう。

「家賃とローン返済額が同等額」ならマイホームの方がお得!?

まず、総コストについて考えてみます。
設定は以下の通りです。

いずれのケースも現在夫婦ともに35歳で、30歳の時に結婚し、子供は3歳。
結婚時に子供のことも考慮してマイホーム購入、賃貸住宅(3LDK)への引っ越しをしたものとします。
また、夫婦ともに87歳まで生存すると仮定します。

<家賃10万円の賃貸住宅に住み続けたときの総コスト目安:7160万円>

  • 賃貸住宅(3LDK)への引っ越し
  • 家賃10万円 (2年更新/更新料は家賃1か月分)
  • 初期費用は礼金 2か月分、敷金2か月分のみを考慮

上記設定に基づいて、総コストを計算してみると、以下のようになります。

【賃貸住宅に住み続けたときの総コスト】

賃貸初期費用    40万円
家賃総額     6840万円
更新料総額     280万円

計7160万円

<ローン返済月額10万円のマイホーム購入時の総コスト目安:6700万円>

  • 一戸建てを購入(計算便宜上、諸費用も含めてフルローンとします)
  • 住宅ローン返済額10万円(35年返済/全期間固定金利1%/3500万円)
  • メンテナンス費用 10年ごとに100万円
  • 固定資産税 3年目まで17.5万円、4年目以降35万円(小規模宅地の特例、および経年劣化による評価減は考慮しません)
  • 住宅ローン控除は考慮しないものとします。(*1)

上記設定に基づいて、総コストを計算してみると、以下のようになります。

【マイホーム購入時の総コスト】

住宅ローン返済総額 4200万円
メンテナンス費用   500万円
固定資産税    約2000万円

計6700万円
(*1:住宅ローン控除(控除率1%・控除期間10年間)を考慮する場合、世帯年収400万円とすると10年間の合計で約170万円を目安に控除されます)

このように、家賃と住宅ローン返済額の条件を揃えて、35年間の総コストを考慮すると、マイホーム購入の方がお得になる計算になります。

(補足)月額10万円で住めるのはどんな物件?
住宅ローン返済の金額が月額10万円と言われても、イメージがしづらいと思います。
全期間固定金利1%の住宅ローン3500万円(諸費用込み/フルローン)を借入期間35年で組んで購入した場合、そのうち諸費用が5%と仮定すると物件価格は約3300万円のイメージです。
住宅情報誌や住宅情報サイトで、その価格帯で購入できる物件検索してみると、立地や広さの相場観をつかめるでしょう。
同様に、家賃10万円で入居できる物件も検索してみると、購入と賃貸によるエリア差異を知ることもできるかと思われます。

マイホーム購入時に気になる税金・給付金について

冒頭で、住宅ローン返済額と家賃の金額を同額に揃えて、総コストを考えてみました。
ここで少し知っておきたいのは、購入時にはお得な税制優遇や給付金があるということです。

「住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」

このお得な税制優遇とは、「住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」のことで、以下の金額が所得税から控除されます。

住み始めた年 控除期間 控除率 年間最大控除額
平成26年1月1日~平成33年12月31日 10年間 住宅ローン年末残高の1% 40万円
(10年間で最大400万円控除)
住み
始めた年
平成26年1月1日
  ~平成33年12月31日
控除期間 10年間
控除率 住宅ローン年末残高の1%
年間最大
控除額
40万円
(10年間で最大400万円控除)

上記の表からわかるように、たとえば3500万円の住宅ローンを組んだ場合、10年間で最大350万円分の税金控除が受けられます。

また、所得税額を超えた控除金額は、「前年分の所得税の課税総所得金額等の7%(136,500円を限度)」まで、翌年度の住民税から控除されます。
たとえば、住宅ローン控除可能額が23万円で、所得税額が20万円の場合、残りの3万円は翌年度の住民税から控除してもらえるんですね。

(詳細は国税庁HP「住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」 を参照してください)

「すまい給付金」

さらに、平成26年4月から平成33年12月の間、以下の対象者には「すまい給付金」という補助金がでる制度が実施されています。

対象期間 対象者の収入目安 給付金額
平成26年4月~平成31年10月(消費税率8%) 510万円以下 最大30万円
平成31年10月~平成33年12月(消費税率10%) 775万円以下 最大50万円

(詳細は国土交通省の「すまい給付金サイト」 を参照してください)


また、勤務先の会社から住宅ローンの利子補給を受けられる場合もあります。

一方で、会社によっては家賃補助の手当は受けられるものの、マイホーム購入した場合には手当が打ち切られる場合もあるため、注意が必要です。

自分の場合はどちらがトクになるのかを、よく調べてみることが大切です。

「賃貸に住み続ける」「マイホームを購入する」それぞれのメリット・デメリットは?

つづいては、総コストだけでは測れない点についても考えてみたいと思います。
賃貸に住み続ける場合と、マイホームを購入する場合それぞれについて、メリットとデメリットを比較してみましょう。

【賃貸VSマイホームをメリット・デメリットで比較】
「賃貸住宅」はライフスタイルに合わせて住み替え自由だが、老後が心配

まず、賃貸住宅に住み続けるメリットには、以下のような事が挙げられます。

  1. ライフスタイルの変化に対応できる
  2. 設備などのメンテナンスが必要ない

それぞれについてカンタンに説明します。

<賃貸住宅のメリット>
1.ライフスタイルの変化に対応できる

転勤が多い方を思い浮かべてみるとわかりやすいでしょう。
賃貸住宅なら、転勤が多いといったライフスタイルにも柔軟に対応することができます。
転勤のみならず、ご近所さんとの人間関係や周辺環境の変化に応じて、身軽に引っ越しをすることができるのはメリットです。

<賃貸住宅のメリット>
2.設備などのメンテナンスが必要ない

物件所有者ではありませんので、設備等のメンテナンスを行う必要はありませんし、固定資産税といった資産税の負担もありません。

一方、賃貸住宅に住み続けることには、以下のようなデメリットがあります。

  1. 家賃を支払い続けなければならない
  2. カスタマイズ性が低い
  3. いつまでも住み続けることができない場合もある

それぞれについてカンタンに説明します。

<賃貸住宅のデメリット>
1.家賃を支払い続けなければならない

もちろんですが、賃貸住宅に住み続けるのであれば、その期間中に仕事を退職し、年金収入のみとなった場合にも家賃を支払い続けなければなりません。
なお長期間にわたり、家賃を払い続けても賃貸住宅は資産にはなりません。

<賃貸住宅のデメリット>
2.カスタマイズ性が低い

いくら家賃を支払っているとはいえ、所有権を有しているわけではありません。
そのため、賃貸住宅の間取りや設備を入居者が自分好みにカスタマイズできる範囲は限られることになります。

<賃貸住宅のデメリット>
3.いつまでも住み続けることができない場合もある

孤独死等のリスクから、高齢者との入居契約を敬遠する賃貸住宅オーナーは少なくありません。
更新を重ね、長年にわたり住み続けている場合も例外ではありません。
賃貸住宅には、必ずしも住み続けることができないことがあることも頭に入れておく必要があります。

【賃貸VSマイホームをメリット・デメリットで比較】
「マイホーム」は資産となるが、高額な買い物だけに慎重さが必要

次に、マイホーム購入のメリットについて考えてみましょう。

  1. カスタマイズは自由
  2. 売却したらキャッシュにすることができる
  3. 老後の住まいの心配が少ない

<マイホームのメリット>
1.カスタマイズは自由

購入することになりますので、資産になります。
自らの資産ですから、間取りや設備のカスタマイズも可能です。
賃貸住宅よりもグレードの高い設備にすることも、ライフスタイルに合わせてリフォームを行うこともできます。

<マイホームのメリット>
2.売却したらキャッシュにすることができる

資産なので、将来マイホームの必要性が低くなった場合には、売却してキャッシュにかえることができる可能性があります。

<マイホームのメリット>
3.老後の住まいの心配が少ない

住宅ローン返済が終了した後は、住居費用負担は少なくなります。
そのため、年金収入のみになった場合も、住居費用についての不安を抑えながら、住まいを確保することができます。
なお、老後とは限りませんが団体信用生命保険を利用していた場合に契約者が死亡した時は、残された家族に住宅費用の負担を残してしまう心配もありません。

一方、マイホーム購入のデメリットは以下のとおりです。

  1. 高額な買い物である
  2. メンテナンス費用がかかる
  3. 資産価値変動の可能性

<マイホームのデメリット>
1.高額な買い物である

新築住宅であっても、中古住宅であっても、物件価格は数千万円になることもあります。
また、物件価格だけではなく仲介手数料や住宅ローン手続き費用、不動産取得税等の税金等々、諸費用もかかることになります。
長期的な見通しを立てた上で、マイホーム購入をする必要があることは言うまでもありません。

<マイホームのデメリット>
2.メンテナンス費用がかかる

新築住宅であっても、永遠に新築ではありません。
適宜メンテナンスも必要になります。分譲マンションは、修繕積立金や管理費が設定されているので、計画的なメンテナンスが行われる可能性が高いでしょう。
一戸建ての場合は、長期修繕計画を自らで考えておかなければ、場当たり的なメンテナンスとなってしまったり、資金不足になってしまったり、ということが考えられます。

<マイホームのデメリット>
3.資産価値変動の可能性

当初数千万で購入したマイホームも、将来経年劣化や環境変化によって、資産価値が変動することも、頭に入れておきましょう。

賃貸か購入か 自分にピッタリの住居を検討するポイント3つ

マイホーム購入と賃貸住宅に住み続ける暮らしのメリット・デメリットを踏まえ、どちらが自分に向いているのかを検討する際は、ポイントを整理し考えてみましょう。

1.ライフプランについて

購入と賃貸、どちらが自分にあっているかを考えるには、まずライフプランを思い描いてみることが大切です。
転勤が多くて、マイホーム購入をしても、次から次へと引っ越しをしなければならない方もいるでしょう。
家族も一緒についてきてほしいと考える方もいれば、自分は単身赴任でもいいから、子供に落ち着いた学校生活を送ってほしいと考える方もいるでしょう。
このように思い描くライフプランによって、どちらを選択するのが適切かを考慮すれば、答えは出てくるものかと思われます。

2.キャッシュフローについて

また、購入となれば頭金や諸費用も必要です。
住宅ローン返済金額が収入に見合っているかを考えることも大切なことです。
また、賃貸の場合は終身にわたり家賃の支払いが続きます。
長期的視点で資金シミュレーションを行い、無理のない選択をすることが必要です。

3.高齢期の住まいについて

マイホーム購入の場合は、将来における住宅の相続および処分について、子供に相続するのか、それとも一定年齢で売却して高齢者向け住宅に住み替えるための資金とするのか等々、経年劣化や環境変化の可能性も含めて考えておく必要があるでしょう。
賃貸住宅に住み続ける暮らしの場合は、高齢になった場合における更新拒否のリスクを考慮して、高齢者専用賃貸住宅等への住み替えができるように住み替え資金のプールをしておきましょう。


マイホーム購入がよいか、賃貸住宅に住み続ける暮らしがよいかは、一概に言えるものではありません。
自分や家族のライフプランと家計状況に目を向けて、長期的視点で考えなければなりません。

ietty(イエッティ)の評判口コミは?首都圏と関西圏の賃貸探しなら

2017.06.09

ABOUTこの記事をかいた人

キムラミキ

【資格】
・AFP
・社会福祉士
・宅地建物取引士
・金融広報アドバイザー

【略歴】
鳥取県立米子東高校 卒業 日本社会事業大学 社会福祉学部 卒業
大学卒業後、外資系保険会社、 マンションディベロッパーに在籍後、
FPとして独立。
現在は、株式会社ラフデッサン 代表取締役として、
法人コンサルティング、個人向けライフプラン相談をお受けする他、
コラム執筆、セミナー講師、山陰放送ラジオパーソナリティとしても活躍中。
HP:http://www.laugh-dessin.com/