大手消費者金融カードローンで債務者(利用者)本人が死亡したときの遺族の対処法

家族が亡くなり身辺整理をしていたら、大手消費者金融カードローン(無担保ローン)の借金があることに気づいたとき、残された家族は「自分が返済しないといけないの?」と不安になりますよね。
額が大きければ死活問題にもなりかねません。
それにもかかわらず、日本では7人に1人以上がカードローンなどの無担保ローンからお金を借りている状況なので、めずらしいケースではないんです。
(参考:「株式会社日本信用情報機構(JICC)に加入する貸金業者が登録する無担保無保証貸付けを対象とした統計(平成29年4月)|JICC」「人口動態調査(2015年次)|厚生労働省」より算出)
そこでここでは、カードローンを利用していた債務者(さいむしゃ)本人が死亡してしまった場合の対処法を解説します。

債務者が死亡した場合、借金残高の返済が必要かどうかはケースバイケース

まずは「残された家族が残債を返済しないといけないのか?」という、もっとも気になる点から説明します。
結論から言えば、返済をしないといけない場合と、返済をしないでもよい場合があります。
では、どのように返済が必要かどうか決まるのかについて、くわしくお話しますね。

大手消費者金融カードローンは無担保・保証人なしなので遺族に返済義務はない

基本的に、カードローンの残債は“返済しないでよい”です。
理由は、一般的な消費者金融や銀行のカードローンサービスは「無担保・保証人無し」での融資なので、残された家族に返済する義務がないからです。
したがって、大きな金額の残債があっても、慌てる必要はありません。
もちろん、融資したカードローン業者側から督促状などで取り立てられることはないので、安心して下さい。
(もし厳しい取り立てがあった場合、ヤミ金融業者の可能性があるため、スグに警察などに相談をしましょう!)

ただ、利用者に返済義務がないのなら、「業者は赤字になって困ってしまうのでは?」と疑問に思いますよね。
じつは、遺族が借金を肩代わりしなくても、以下のふたつの理由から、カードローン業者はあまり損をしなくて済むんです。

  1. そもそもカードローンは小口融資だから
  2. 債務者の死亡による未回収分は経費となり、カードローン業者の節税につながるから

それぞれについてカンタンに説明しますね。

1.債務者本人が死亡してもカードローン業者は小口融資だから大損しない

ただ、カードローンの融資額の平均が46万円なので、貸したお金が返ってこなかったとしても、あまり大きな痛手にはならないんです。
(参考:貸金業法対象情報「一契約当たりの残高」|JICC)
さらに、債務者本人が死亡した場合、カードローン業者は「節税」することで未回収分の損失を補うことができます。

2.カードローン業者は「貸倒損失の計上」で節税できるため未回収でも大損しない

一般的に、債務者が返済できない状況になったとき、国が「貸倒損失の計上」として“未回収分は経費として計上してもよい”と認めています。
このようにカードローン業者は、損した額を“経費”とすることで節税できるので、利用者本人が死亡しても大きな損失にはならないんです。
そのためほとんどの場合、業者は企業イメージダウンや遺族への取り立ての労力などのデメリットと、節税によるメリットとを天秤に掛け、あえて取り立てをせず「貸倒損失計上」をします。

このように、カードローン会社も大きな損はしないので、「遺族は残りの借金を支払わなくてよい」と言われても不安に感じる必要はありません。

【補足】以前は債務者本人の死亡時のための「消費者信用団体生命保険」があった

以前までは、利用者に「消費者信用団体生命保険」という“利用者の死亡時に、生命保険会社が残りの借金を支払う保険”に半ば強制的に加入させていました。
ただ、「人の命を担保にお金を貸している」などの理由から、現在は廃止されており、今はどこの消費者金融業者も利用していません。


ここまで、債務者本人が死亡時に遺族が残りの借金を返済する必要がないケースについて紹介しました。
つづいては、遺族が残りの借金を肩代わりする必要があるケースについて解説します。

遺族がカードローン残高を返済する必要があるのは「遺産相続」をするとき

先ほどお話しした「返済をしないといけないケース」について、くわしく説明します。

カードローンの利用者本人が死亡したとき、遺族が借金を肩代わりする必要があるのは、「遺産相続」をする場合です。
なぜなら、遺産相続をすると“プラスの遺産”はもちろん、“マイナスの遺産”も一緒に相続することになるからです。
たとえば、ローンを完済している家や車などの“プラスの資産”を相続したい場合は、カードローンの借金という“マイナスの資産”もかならず相続する必要があります。

プラスの遺産相続を放棄すれば、マイナスの遺産はなかったことにできる

マイナスの遺産を相続したくない場合は、プラスの遺産を含め、すべての遺産を放棄することでチャラにすることが可能です。
大きなプラスの遺産がなければ、すべての遺産を放棄してしまうのもひとつの手段なんです。
ただ、「プラスの遺産を受け取って、その遺産で残債を返済した方が得か?」という点を、しっかりとチェックする必要があります。
家族が亡くなった状況で損得勘定をすることに抵抗があるかもしれませんが、お金に関することは後々の人生を大きく左右するため、しっかりと計算するのがオススメです。
冷静に「相続をするのか?放棄をするのか?」を決めましょう。

債務者の遺産を“相続する”ときの手順とカードローンの残責について

遺産相続をする場合の手順を、カンタンに説明します。
流れと必要な作業は、以下の通りです。

  1. 死亡届の提出する(7日以内)
  2. 遺言書の確認する(3ヶ月以内)
  3. 法定相続人の人数を確定させる(3ヶ月以内)
  4. 相続財産を調べる(3ヶ月以内)
  5. 遺産分割協議を開始し割合を決定する(3ヶ月以内)
  6. 遺産相続をするのか?破棄をするのか?の決定(3ヶ月以内)
  7. 【相続をする場合】所得税の準確定申告を行う(4ヶ月以内)
  8. 様々な遺産の名義変更を開始(10ヶ月以内)
  9. 相続税申告をして納付手続きを行う(10ヶ月以内)

いずれも期限が決められているため、しっかりと対応していくことが大切です。
専門的な知識が必要なこともあるため、一般的には弁護士などに依頼することが多いです。
カードローン残債の相続については、遺産分割協議で決定した内容で割り振られます。

債務者の遺産を“放棄する”ときの手順とカードローンの残債について

遺産相続の破棄は、先ほど説明した遺産相続の流れの「6. 遺産相続をするのか?破棄をするのか?の決定(3ヶ月以内)」のタイミングで決定するのが一般的です。
放棄に関しては、相続放棄申述書と以下の必要書類を用意し、裁判所へ提出します。

【必要書類】
故人の戸籍謄本、故人の住民票、届け出をする人の戸籍謄本、収入印紙(800円分)、郵便切手

いずれも役所などで手に入れることができます。
また「相続放棄申述書」は、単純に「放棄します」という内容と、放棄する理由や財産の内訳などを記入します。
あとは、家庭裁判所がこれらの書類を受理すれば、遺産放棄が完了し、債務者本人のカードローンの借金を肩代わりする必要はなくなります。


今回は、債務者本人が大手消費者金融カードローンの借金を残して死亡したときの、遺族がとるべき対処方法について説明しました。
基本的には支払い義務はありませんが、遺産相続をする場合にのみ借金の肩代わりが必要です。
残された借金の残高とプラスの遺産の額を比較して、損をしない選択をしてくださいね。

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