退去費用が払えない場合は?退去費用(原状回復)のしくみと対策まとめ

新居が決まり、今の物件を引っ越すことになったとき、気になるのは「退去費用」ですよね。

退去費用とは、賃貸物件から出ていくときに、入居者が大家さんや不動産管理会社に支払うお金で、「原状回復費用」などとも呼ばれています。
この費用は、入居者のせいで物件についてしまった汚れやキズを直して、元の状態に戻すために使われるものです。

そのため、掃除やメンテナンスをしっかりと行い、汚れやキズが付かないように気をつけて生活していれば、この退去費用はほぼ支払わなくていいんです。

ですが、実際には高額の退去費用を請求されることもあり、中には100万円以上を請求された人もいるんです!
しかも、2011~2015年の間に、国民生活センターに寄せられた退去費用に関する相談の平均件数は約1万4357件もあります。
このように、じつは多くの人が高額の退去費用に悩まされているんですね。

というわけで、今回は退去費用のしくみと、支払えないと感じたときの対策についてくわしく解説します。

退去費用には基本的に通常使用によるダメージは含まれません


まずは、退去費用のしくみについて説明しますね。
先ほどもお話ししたように、退去費用というのは「原状回復費用」とも呼ばれ、“物件を元通りにする”ための費用です。

ただ、元通りとはいっても、“入居時の”状態に戻すわけではありません。
というのも、とくに汚したり傷つけたりしなくても、ふつうに生活しているだけで物件は自然に劣化していきますよね。
こうした汚れやキズは「通常損耗(つうじょうそんもう)」といい、この劣化を考慮したうえで、“退去時の”物件の価値を正当な状態に戻すんです。

たとえば、以下のようなものが通常損耗と考えられ、これらを修復する場合は大家さん側の負担となります。

  • 日光によって畳やクロスが変色してしまった
  • 家具を置いていただけで床が凹んでしまった
  • 冷蔵庫の後ろの壁が電気ヤケしてしまった
  • エアコン設置でビス穴や跡がついてしまった
  • 台風や地震などでガラスが割れてしまった
  • 経年劣化によって網入りガラスにヒビが入ってしまった

一方、以下のような汚れやキズは「通常損耗を超えている」と考えられるので、入居者が修復費用を支払う必要があります。

  • 飲み物をこぼしたときスグに掃除をしなかったせいで、シミ・カビがついてしまった
  • 窓を閉め忘れていたせいで雨などによって、畳やフローリングが変色してしまった
  • 家具を移動させるときに引きずってしまったせいで、床にキズがついてしまった
  • 壁や床に落書きをしてしまった
  • ペットが壁を傷つけてしまった
  • クーラーから水漏れしているのを放置したせいで、壁が腐食してしまった
  • 掃除をサボったせいで、台所や風呂、トイレなどに汚れやカビがこびりついてしまった
  • 鍵を無くしてしまった
  • 壁や床に穴を開けてしまった

では、上記のような汚れ・キズをつけてしまった場合、どのようにして退去費用は計算されるのでしょうか?

退去費用は入居時の敷金から修繕費用を差し引いたもの


退去費用は、基本的には以下のように計算されます。

「 退去費用 = 敷金 ー 通常損耗を超えた部分の修繕費用 」

「敷金(しききん)」とは、入居者が家賃を滞納したり、不注意で物件を壊してしまったりしたときに使うために、入居時に大家さんに預けておくお金です。
そのため、とくに入居者が家賃滞納などを行わなければ、退去するときに返してもらえます。

日本賃貸住宅管理協会の調べによると、退去時に、修繕費用を差し引いた敷金を返してもらえた人は66.7%もいます。
また、単身用物件の入居者で実際に退去費用を支払った人でも、76.9%は5万円以下の支払いで済んでいるんです。

そのため、敷金を支払ってから入居している場合は、高額な退去費用を請求される可能性は低いんです。

では、100万円といった高額な退去費用を請求されるのは、どういった場合なのでしょうか?

退去費用が高くなる、「敷金0円」と「特約」に注意!


退去費用が高くなる原因として、“敷金が安いこと”と“特約によって修繕費用が高いこと”の2パターンが考えられます。

敷金が安いパターン

敷金が安い物件の中には、“敷金0円”をウリにしているところもありますよね。

こうした物件は、入居時はとても魅力的ですが、修繕費用がそのまま退去費用となるので、退去時にまとまったお金が必要になる可能性が高いんです。

そのため、“敷金0円”物件に住んでいる人は、退去費用としてまとまったお金を用意しておくことをオススメします。

特約によって修繕費用が高いパターン

契約時に「通常損耗補修特約」という契約をした場合、修繕費用が高くなり、退去費用がさらに増える可能性があります。

「通常損耗補修特約」とは、通常損耗による汚れやキズなどの修繕費用も、“入居者”が負担するという特約です。
たとえば、ルームクリーニング、畳交換、壁や天井のクロス全面貼り替えなどの費用が、入居者負担になります。
そのため、修繕費用が敷金だけでは足らなくなり、退去費用として請求される可能性が高くなるんです。

ただし、特約の内容があまりにも入居者に不利になる場合、訴訟によって退去費用が安くなることもあります。
(訴訟などの方法については、のちほどくわしく紹介しますね)


ここまで退去費用のしくみについてお話ししてきましたが、イメージできましたか?
では、もし退去費用を支払わない場合、どうなってしまうのかについてお話ししますね。

退去費用が払えない場合、払わなかったらどうなるの?


退去費用の支払い義務は、普通の借金と同じように“負債”という扱いになります。
そのため、退去費用を支払わないでいることは、借金を抱えて踏み倒しているのと同じなんです。

そのため、大家さんや不動産管理会社から訴えられてしまった場合、口座などの財産が差し押さえられてしまう可能性もあります。

ですが、「どう考えても退去費用が高すぎる!」と感じることだってありますよね。
というわけで、続いては退去費用に納得できない場合に行うべき対策について、くわしく解説しますね。

退去費用に納得できない場合に行うべき対策4つ

大家さんや不動産管理会社から渡された見積もり金額に納得できない場合、以下のような対策を行うことで、値下げなどをしてもらえる可能性があります。

  1. 大家さんや不動産管理会社と交渉する
  2. 国民生活センター、消費生活センターなどに相談する
  3. 民事調停に申し込む
  4. 少額訴訟手続を行う

なお、納得できる金額になるまで、この順で対策を進めていくことになります。
では、それぞれについてカンタンに説明しますね。

1.大家さんや不動産管理会社と交渉する


まずは、大家さんや不動産管理会社に「金額が高すぎるのではないか」と伝え、値下げしてもらえるように交渉しましょう。
その際、退去時の物件の写真を証拠として使ったり、費用の内訳を説明してもらったりして、入居者にとって不利な部分がないか確認するのがオススメです。
また、修繕工事の内容に対して見積金額が多すぎると感じたら、複数のリフォーム業者から見積もりを提示してもらうことをお願いしてみましょう。

そして、金額に納得できるまでは、支払いに同意する書面にサインをしないでくださいね。

2.国民生活センター、消費生活センターなどに相談する

もし、どれだけ交渉をしても、大家さんや管理会社が値下げなどに応じてくれなかった場合は、国民生活センターや消費生活センターなどに相談してみましょう。
退去費用に関しては国民生活センターなどに法的な効力はありませんが、値下げなどにつながるようなアドバイスをもらえる可能性があります。

もちろん相談料は無料で、この後の調停や訴訟などのアドバイスももらえるので、ぜひ相談してみてください。

3.民事調停に申し込む


国民生活センターなどに相談しても交渉がうまくいかなかった場合は、民事調停に申し込みます。
民事調停とは、簡易裁判所で行われるもので、裁判官などが入居者と大家さんの間に入って、円満に話合いが進むようにサポートしてくれます。

裁判所というと手続きがムズカシそうですが、実際には窓口に設置されている用紙に必要事項を記入するだけなのでとてもカンタンなんです。

また、費用がとても安いのが特徴で、たとえば退去費用10万円を取り消してほしい場合の手数料はたった500円です。

4.少額訴訟手続を行う

民事調停でも解決できなかった場合には、少額訴訟手続を行います。
少額訴訟手続とは、退去費用のトラブル解決によく使われている裁判で、60万円以下の金銭トラブルに限って利用できます。
また、少額訴訟手続を行うと、減額、分割払い、支払い猶予、延滞金の免除などの判決をしてもらえることがあります。

なお、手数料は民事調停よりも高くなりますが、退去費用10万ごとに1,000円で済むので、28万円の退去費用を取り消したい場合の費用は3,000円です。


ここまで、退去費用に納得できない場合の対策方法について紹介しました。
ですが、できればこうした対策は行わずに済ませたいですよね。

そのためには、大家さんや不動産管理会社の立会いの前に、できるだけ部屋をキレイに見せることが大切なんです。

というわけで、まだ立会いによる物件確認を行っていない人のために、立会い前にチェックしておきたいポイントを紹介しますね。

退去費用を払いたくない人が立会い前にチェックしておくべきポイント5つ

退去時の物件確認の前には、以下の5つのポイントをとくにチェックしておきましょう。
これらのクリーニングや修繕にかかる費用は、入居者が負担することになっているので、退去費用を払いたくない場合はしっかりと対処しておいてくださいね。

壁に開けたくぎ穴やネジ穴

重いものを掛けるために、くぎやネジで穴をあけてしまった場合は、ホームセンターなどのグッズでできるだけ修復しておきましょう。
ただし、ポスターやカレンダーなどを止めていた画びょうやピンなどの浅い穴の修繕については、大家さんの負担となるのが一般的です。

壁紙や床の剥がれやキズ

壁紙や床に剥がれやキズがある場合、壁紙・フローリングの全体交換となってしまう可能性があります。
そのため、もし剥がれなどの範囲が狭ければ、ホームセンターなどのグッズを使って修復しておきましょう。

壁や天井のヤニ汚れ

軽いものであればアルカリ洗剤やヤニ汚れクリーナーで拭き取り、壁紙をキレイにしておきましょう。
ただ、汚れがひどい場合はクリーナーでも取れないことも多く、においのトラブルにもなるため、壁紙全体の交換となる可能性が高いです。
その場合の費用は、入居者の負担となってしまいます。

台所の油汚れ

台所の壁や換気扇にこびりついた油汚れは、アルカリ洗剤などで拭き取るなどしてキレイにして、ルームクリーニングの費用を浮かせましょう。

風呂・トイレ・洗面台の水垢やカビ

風呂・トイレ・洗面台などに水垢やカビが付いてしまっている場合は、カビ除去専用の洗浄剤などでしっかりと掃除しておきましょう。


ここまで、立会い前にチェックしておきたい場所を紹介してきましたが、なんとか修繕費を抑えることはできそうですか?

また、もしすでに立会いをしてしまった場合でも、国民生活センターなどに相談することで負担金額が減額される可能性もあります。

ちなみに、今回お話しした内容については、国土交通省が公表している「原状回復ガイドライン」にくわしく書かれています。
過去の判例などについても紹介されているので、さらに知りたい人はぜひチェックしてみてくださいね。
⇒「原状回復ガイドライン」 http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf

まとめ

今回は、退去費用のしくみや退去費用が払えない場合の対策について紹介してきました。
退去費用の支払いがムズカシイと考えている人は、今回お話しした対策などを上手く利用してみてください。

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